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​現場リポート:2024年4月7日

今回は4/7に行われた診療実践コース「整形外科」のレポートをお届けいたします。
今回私がこの講義を受講したきっかけですが、私は現在若手の総合診療医として小規模の慢性期病院で働いていて、内科外来や訪問診療を数多く担当しているのですが、高齢者が持つ肩や腰, 膝の痛みに遭遇する場面が非常に多いため、一度総合診療医として対処できる整形外科領域のスキルについて体系的に学習したいと考えたからです。

 

そのような思いを抱えた中で始まった今回の講義ですが、まず外傷診療で頻度が高い整形外科疾患について教えて頂きました。印象に残ったポイントとして、脊髄損傷における損傷レベルの評価法が挙げられました。特に損傷レベルによってどのような運動麻痺や知覚低下が出現するかに関してはなかなか覚えにくいかと思いますが、今回の講義では実際の動作や語呂合わせを交えて具体的に教えて下さったため、非常に理解しやすく実践しやすいと感じました。また骨折や靭帯損傷, 腱断裂などメジャーな疾患の診断やマネジメントに関しても確認することが出来たため、非常に有難かったです。

次のテーマは、プライマリケアにおける膝の診察法に関してでした。特に膝関節の触診法に関しては、圧痛部位と各疾患の関係性について整理することが出来たため、今後の外来診療において非常に役立つと感じました。またプライマリケア医として必須の手技である関節穿刺に関しても、穿刺部位や角度, 関節液の評価法, 関節注射で使用する薬剤など具体的かつ実践的な内容ばかりであり、Common Diseaseである変形性膝関節症の治療に関しても薬物療法に限らず運動療法や杖などの非薬物療法まで教えて頂くことが出来ました。

その後は、腰痛の診察法に関して教えて頂きました。腰痛は内科疾患から整形外科疾患まで幅広い鑑別疾患を考えなければならない症候ですが、「red flagsが無い腰痛は1ヶ月画像診断不要である」「腰痛の多くは確定診断が出来ない」「ほとんどの腰痛は2週間以内に改善する」など非常に簡潔明瞭な考え方を伝えて下さったため、腰痛の診療に苦手意識がある先生方にとって抵抗感を軽減するきっかけになったと思われます。また腰椎椎間板ヘルニアの診察法についても、反射・知覚・筋力の3点から所見を解説して下さったため、今後はヘルニアに対してより詳細な診察を行うことが出来るという自信が湧きました。

そして講義の内容は、プライマリケア医として知っておきたい肩の痛みに対するマネジメントに移っていきました。特に肩の触診や4種類の診察法(Painful arc test, Speed’s test, internal rotation lag sign, external rotation lag sign)を私は知らなかったため、非常に勉強になりました。また肩関節エコーも教えて頂けたため、前述の診察法と組み合わせることでこれまで曖昧であった肩関節疾患の鑑別がより詳細に出来るようになると感じました。

そして最後に手・肘・足の診察に関して学習しました。この時間は、足関節捻挫やアキレス腱断裂, 肘内障, 橈骨遠位端骨折などCommonな疾患の初期対応に関して簡潔にまとめて下さったため、自身の知識を振り返る貴重な機会となりました。

以上が今回の講義内容でしたが、プライマリケア医が持つ整形外科領域の疑問や遭遇し得る疾患の知識についてたった1日で網羅的に学ぶことが出来たため、総合診療医として働く私にとってとても貴重な機会となりました。

【開催日】
2024年4月7日(日)

【テーマ】

診療実践コース:整形外科

【講師】

仲田 和正

​(西伊豆病院)

​【研修目標】

・一般救急外来の現場で、整形外科外傷に対して適切な初期対応を行うことができる
・非専門医による日常外来において、頻度の高い膝・肩・腰の症状に対して病歴聴取・身体診察・

 画像評価を行い、適切なマネジメントを行うことができる

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